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2010年9月19日 (日)

絵本屋の小さな出来事。

「ちょっと、お兄さん、この本返すわ~~。」

 
そういって、入ってきたのは、前の日にいらした、いつもお孫さんを連れて来て下さるお客様。

いつもはお孫さんのために絵本を買って行かれるんですが、「たまには私が読んでもいいような絵本な~い?」ってことで、1冊お薦めしました。

それは、「おおきな木」。

与え続ける木と、生涯に渡り、もらい続ける少年の話。

与える愛なのか、過剰な愛なのか、一方的な愛なのか。

簡単なストーリーと簡単な絵で出来た絵本ですが、色んなことを考えずにはいられない絵本で。

で、その本をおすすめしたんですが、次の日にやってきて、「返すわ。」と。

 
 
「あら、そうですか~。じゃあ、お代をお返ししますんで、ちょっと待って下さいね~。」と言うと、

 
「いや、いいのよ。そういうことじゃないのよ。深くて深すぎて、色んなことを考えて、眠れなくなっちゃうのよ。この表紙の緑色が目に入るとそれが気になってまた考えちゃうから、返しに来たのよ~。」

 
だそうで。

 
で、丁度その時店にいらした女性のお客さんが、

 
「たしかにこの絵本は深いですよね~。」

 
ってことを振ってから、店内は、「おおきな木論争」が始まり。

 
「この木の愛は愛じゃない。」

「こんなんじゃ子供を駄目にする。」

「結局、この子は年をとってもこの木にすがって駄目になっている。」っていうところから、

「だから、私はこの木に足を書いてやろうかと思ったのよ。

この木は動けないから駄目なのよ。足を書いて動いて、テニスでもエアロビでも好きなことをやればいいのよ!!

アンパンマンでもドラえもんでも与えればいいってもんじゃないのよ!」
 


っていう、家に籠もって家族の為には尽くすけど、誰かの為に何かをしていると思い込んでいるだけで、結局誰の為にもなっていない!っていう社会への啓発、問題提起にまで話は進み、、、、。

 
まさか、こんなことになるとは思ってもいなかったであろう、もう一人の女性のお客さん。
 

「私が持っているのは英語の原文のものなんですけど、もう1回読み直してみます。」

 
で、それを聞いたおばさまが、「あら、じゃあ、これあげるから持って行ってよ。ねえ、お兄さんいいわよね?」

 
はい。もちろんですよ。
 


で、そのおばさまが帰った後。
 


女性のお客様が、その絵本をゆっくり読んで、私のところに返して下さろうとするので、

「いや、ほんとにいいんですよ。どうぞお持ち下さい。なんかわけわかんないことになりましたが、まあ、これも一つのご縁だと思って。」

 
と言うと、

 
「え~、ほんとにいいんですか?嬉しい。実は私、今日、誕生日なんです。」
 


 
絵本屋の小さな出来事。

小さな奇跡でした。


 
 
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コメント

えほんうるふさん。

   ありがとうございます。

   「足を書く」っていう姿勢が素晴らしいなあ、っ
   て思いました。

   自分の感性で自由に読む、ってこういうことなん
   だなあ、と非常に勉強になりました。

   お会いできるのを楽しみにしてます!!!
  

投稿: ねこじたゴリラ。 | 2010年9月20日 (月) 16時29分

とても素敵なエピソードですね。
私はその「気に足を書いてやろうと思った」お客さんと、とっても気が合いそうです^^
そういう人が常連だなんて、ねこじたゴリラ堂に親近感を感じずにはいられません!
いずれゆっくりお邪魔しに行きますよ〜♪

投稿: えほんうるふ | 2010年9月20日 (月) 13時47分

ようママさん。

   ありがとうございます。

   ドラマは常に日常に潜んでいるものですね。

   楽しい出来事でした。

   

投稿: ねこじたゴリラ。 | 2010年9月20日 (月) 13時11分

佳い。

そういう場に集まる人たちも
そういう場を提供していることも。

なにがきっかけで、どんな風に事態が動き出すかわかりませんね-!

投稿: ようママ | 2010年9月19日 (日) 19時37分

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